2015.07.10[金] 「私健康です!」と言える人が増える社会を作っていこう!(その2)

以下の文章は愛農会の機関紙 「月刊 愛農」 6月号・7月号に記載された記事です。
皆様にもぜひお読みいただきたいと思い、ここに転記させていただきます。愛農会のホームページはこちらです。こちら

養生を学ぶ会~第30回記念大会 基調講演より~

「私健康です」といえる人が増える社会を作っていこう!  講師 田中一 (きのくに漢方クリニック院長)

奈良県月ヶ瀬の有機農家や養蜂家など4家族が結成した「月ヶ瀬医と食と農を結ぶ会」では、三重県名張市にある赤目養生所で所長を勤めておられた田中一先生を講師に迎え2008年よりさまざまなテーマで養生を学ぶ講習会を開催してこられました。

5月2日に行われた30回記念大会にはおよそ200人が参加し、健康について考える機会を持ちました。愛農会が後援していたこの大会の基調講演の内容を2回に分けて掲載させていただきます。

 

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田中一 (たなかはじめ) 医師。

医学博士。きのくに漢方クリニック院長。
1994年和歌山県立医科大学卒業。第2外科(消化器外科)入局。

手術・抗がん剤などの通常治療、がん免疫療法の研究に携わり免疫力向上の重要性を痛感。

和歌山県立大学院卒、米国Vanderbilt大学医学部研究員(腫瘍免疫学部門)
国立和歌山医療センター外科を経て2004年から2007年まで赤目養生所所長。

食養生・心の養生・漢方を柱に免疫力を自然な方法で高めることにより、がん、アトピー、糖尿病、自己免疫疾患などあらゆる難治症の患者さんを治療。

2008年きのくに漢方クリニック開設。

 

 自分の肉体をモニタする  ●体が発する内なる黄色信号を受け取ろう

自分の肉体を常にモニタできているか、これもすごく大事です。船体がきしきしいっているのに気づけないようではいけません。自分の肉体をモニタするにあたっては、みなさんのおなかの中に双子の兄弟がいると思ってください。そしておなかが痛いなと思ったらその兄弟が悲鳴を上げていると思ってください。腰痛でも頭痛でもそうです。そして「あ、ごめんね、負担かけてた?」という風に受け取ってください。

症状=悪、と思い込んでいる人がすごく多いのです。そしてそれを早く消したい、早く追い払いたいと考える。しかしそうした症状は自分の体に負担を掛けすぎているために起きている現象で、内なる黄色信号なのです。

せっかく体が出してくれているサインを不快だからと薬で消そうとするのは、やって悪いとはいいませんがあまりいい方法ではありません。その前に「では体の状態を正常化してあげよう」と考えるのが正しいのではないでしょうか。

「頭痛」→ 「頭痛薬」 、「胃が痛い」→「消化薬」、の前に、

「頭痛」→「「頭を使いすぎたんだな、今日は早く休もう」、
「胃が重い」→『昨日食べ過ぎたんだな、今日は野菜スープだけで軽くすませよう」と考えるようになってください。

 

  体力がすべて  ● 体力が充実していてこそあなたが思うあなたであれる

上がれる私になるために決定的に重要なのは体力です。体力がすべてです。これを理解しておいてもらいたいと思います。皆さんの活動というのは皆さんの体力によってなされるのです。もっとはっきり言えば、体力が一定以下の状態で考えることはすべて間違いです。皆さんの脳というのはある状態に対して常に同じ答えを出すわけではありません。
体力が充実しているときのあなたのコンピューターはあなたが思っている性能を持ったコンピューターですが、体力がないときは同じコンピューターでありながらとんでもない判断ミスをします。そこから出てくる結論はまるで違うものになるからです。ある一定以上に体力が充実していてこそあなたが思うあなたであれのです。体調が悪いときにベストは出せません。ですからいい体調をコンスタントに維持できるようにならない限り、皆さんの思っているいい人生というものはてに入らないということなのです。

 

人生は体調しだいです。そして「わたしってなかなかいい」と思えるのは結果を出しているときです。でも人間社会においては、結果はあなたの実力だけで決まるわけではなく、他人の評価が影響する場合も多いわけです。これを前提として私に出来ることは何かと考えると、体調を維持した上でベストを出すことです。ベストは出せた、しかし残念ながら周囲からの評価は低く結果は出なかった。それでもベストを尽くせたのだからその結果に納得し、自分にOKを出せる人間であることが大切です。

 

しかし病気の方というのは往々にして結果のよさを最優先に求めます。状態は少しづつ良くなっているのに、それを「良くなっている」と捉えず、「治っていない」と捉えてしまいます。結果を求めすぎて良くなっていく途中経過を重視できないのです。それができなければ自分の体は自分の考えによって壊されてしまいます。

 

  体調維持の秘訣 ● 病気になったときに体力を浪費しない自分に変われるか

私たちは自分を治していく力、自己治癒力を備えています。そしてこの力は死ぬまでなくなりません。何歳になっても病気は治り得ます。少なくとも改善はします。この治癒力・修復力がゼロになるいうときは死ぬ時です。それを分かっておいてください。

 

そして治癒力というのはうまく使えば想像をはるかに超える力を発揮します。たとえば癌でもびっくりするくらいよくなることが起るわけです。私がこの道に入ったのもそういう患者さんとの出会いがきっかけでした。だからもし病気が治らないとしたら「うまく体の力を活かせていなかった」それだけのことだと思ってください。肉体の変化する力が不足していたのです。その力をうまく引き出せていなかったのです・・・・今日までは。今日からは引き出しましょう。私たちの体の中に備わっている力です。

 

そして私たちは動物です。使わない機能は衰えます。ですから使いましょう。しかし使いすぎると疲弊します。
たくさん食べたほうがいい? これはウソです。食べ過ぎたら体を壊します。では食べないほどいい?これもおかしいです。なにごともほどほどに。これを中庸といいます。

 

ここで大切なことは人間は体に悪いことを平気でできてしまう動物だということです。人間はお酒を飲んだり、体を壊すほど食べたり、風邪をひいて咳をしながら煙草を吸ってみたりしますよね。人間以外の動物はそんなことはしません。これが人間とそのほかの動物との決定的な違いです。この両者の大きな違いは何かというと脳です。ですから脳というのは結構危険な存在で、脳が治療の邪魔をするんです。

 

自動車教習所で認知・判断・操作というのを習いました。ドライブシュミレーターの映画を見ます。ころころころ・・・・とボールが転がってきました。さあ、このあと何が起こりますか?ボールを追いかけて子供が脇道から飛び出してきますよね。ボールを認知し、そして子供が出てくるであろうことを判断して、ブレーキを早めに踏むという操作を行う。これが脳のシステムです。

 

治るときにはこれが正しく働くのです。たとえば頭が痛いと認知する。そして頭を使いすぎてゐるんだろうなと判断します。そして「だったら休もう」という操作を行う。これが病気が治る人のパターンです。

しかし、同じ頭痛を感じても治らない人というのは、頭が痛いと感知する、そして次なぜだろうと考える。そして「ネットで原因を調べる」んです。この操作間違っているでしょ?ネットで調べたらだめですよね。パソコンやスマホの画面を見ると脳はものすごい刺激を受けますからね。その上情報を入れてああでもない、こうでもないと考えたらまた脳を使うことになります。「頭の使い過ぎ」というサインを体が出しているのに頭でっかちの頭ちゃんはそれを受けて「なんでだろう」とさらに頭を使ってしまうのです。

 

考えるということは大変なエネルギーを必要とします。ですから体力が衰えたときには頭も小さくして使わないことです。体調は考えるももではなく感じるものだから体調が悪いときには考えずに休むことです。治ることは変わることですからね。病気になったときに体力をいかに浪費しない自分に変われるかということがとても重要になります。不調のとき健康な人は休みます。皆さんも調子が悪いときは休める人になってください。これが体調維持の秘訣です。すごくシンプルでしょ?

 

 エネルギーの使い方 ●考えること、悩むことにエネルギーを使わない

 

エネルギーの使い方には3つあります。一つ目は「外から見える運動・活動」これは仕事をするとか、マラソンをするとかいうことです。多くの方は体力の使い道というのはこれだけと思っていらっしゃるのですが実はこれだけではありません。2つ目に「頭・思考」考えること、悩むこと、これにものすごいエネルギーを使います。そして3つ目が「体内活動・内臓・修復・充電」のために使われるエネルギー。実は病気になったらこの3つ目にエネルギーを使えることがとても大切なのです。

 

であるのに、病気になったときに悩む人緒どれだけ多いことか。エネルギーをまた二つ目に持って行くんですよ。そちらにエネルギーを咲いていては絶対に治りません。僕らの体には電池が入っていると思ってください。この電池がどの程度残っているかということを日々モニターしてそれに応じて動き、休める私たちにならなければなりません。

 

フル充電の状態がレベル1.とにかく調子がいいです。体も元気で頭もクリアで、本来の私のパフォーマンスができる状態です。しかしどうですか?レベル1でやれている時ってヘタしたら午前中の10時くらいまででしょう。11時になったらもうレベル2くらいになって切れ味が少し落ちてくる。夕方になるともうレベル3.

 

先ほど体力が落ちたときに考えることはすべて間違いであるとお話しましたが、ここまで来るとあまり頭を使わないほうがいいということです。レベル3になると持病が出てきます。余計な働きをしたくない、面倒くさい感じがします。そういうときにミスをして責められたら落ち込むか逆切れします。集中力、判断力も落ちます。視力は極端に落ちます。聴力も落ちますね。指先の感覚も落ちるので、私なんか木曜日の午後診になったらまぁパソコンの内間違いの多いこと。声も出しにくくなります。それでも無理をして活動すると過食になったりします。

 

そして何よりも重要なのが、体力レベルが3になったら正しいと頭で分かっていることができなくなります。あなたがあなたでなくなる瞬間です。4になったら電池切れですからいいも悪いもないのですけれど・・・・・・。

 

とにかくレベル3まで体力が落ちたら充電することです。充電とは睡眠です。食べることではないですよ。私たちの体は寝ている間に修復がなされます。病気は夜寝ている間に治るのです。ですから治るためのエネルギーをある程度残して床に就かないといけません。

 

特に病気の方はそうです。そして体調が悪いことを「なぜだろう」と頭で考えないこと。これは電池から常にエネルギーが漏れてしまっている感じ。これではいくら充電しても電池の容量が増える隙がないですよねエネルギーの使い道についての理解を間違っていたら体力をいくらでも無駄にできます。そうしたら体の内部崩壊は止まりません。

 

 

 「正しさ」の再定義 あなたにとって何が正しいかは日々変化している

 

知識は体力ほど重要ではありません。勉強も役に立ちます。しかし多くの場合、いろいろな知識を集めれば集めるほど混乱するのです。なぜなら「ガンの食事療法」というキーワード1つをとってもネット上で調べればいろいろ異なる意見が出てくるからです。

『先生、このうちのどれが正しいんですか?」とよく聞かれます。答えは全部正しいのです。結局勉強することの意味というのは諸説あるということを理解するということなんです。そして人の考えがみな違う中で正解かこれしかないと思い込むことは恐ろしい事だということを理解することなのです。

 

思い込むということは自分の頭で自分に足かせをすることであり、自由に動けなくなります。治るということは変わることであるのに変われなくなります。だから思い込まず違う意見を求めるほうが健康なのです。

答えはひとつではないのです。たとえばこの薬を飲むことが正しいということではない。この薬を飲んでもしあなたの体調がよくなったらそれはあなたにとって正しいのです。あそこの鍼灸院がいいと聞いたとします。AさんにとってよかったらAさんにとっては正しいのです。しかし、あなたがそこにかかったことでかえって悪くなったというならそれはあなたにとっては正しい処方ではないのです。

 

何が正しいのかということを私たちは常に求めたがります。しかし、人の考えや状態というのはみんな違います。そのときその人にとっての正しいということは常に変化しているのです。正しいということはそれほどあやふやで変化に富み不安定なものです。それを追い求めることは皆さんの人生を不安定なものにします。

 

「正しいこと」があるとするのなら、それはみなさんの肉体は健康であるということ、皆さんの体調がいいということだと、そのように考えませんか。正しさの定義を「健康である」というところに置き直そうではありませんか。

正しいこととは健康であること、という考えを共有したいと強く提案し、お願いをして僕の話しを終わりたいと思います。

(おわり)

 

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病気は脳がつくっていた 「動物脳」を解放すれば、健康になる! 
田中先生のこのお話は、こちらの書籍に詳しく書かれています。
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高橋 和子 info@budounoki.info
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