有機野菜専門店 ぶどうの木のオーガニック通信

「私健康です!」と言える人が増える社会を作っていこう!(その1)

養生を学ぶ会~第30回記念大会 基調講演より~

「私健康です」といえる人が増える社会を作っていこう!

講師 田中一 (きのくに漢方クリニック院長)

奈良県月ヶ瀬の有機農家や養蜂家など4家族が結成した「月ヶ瀬医と食と農を結ぶ会」では、三重県名張市にある赤目養生所で所長を勤めておられた田中一先生を講師に迎え2008年よりさまざまなテーマで養生を学ぶ講習会を開催してこられました。

5月2日に行われた30回記念大会にはおよそ200人が参加し、健康について考える機会を持ちました。愛農会が後援していたこの大会の基調講演の内容を2回に分けて掲載させていただきます。

きのくに漢方クリニック 田中一先生

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田中一 (たなかはじめ) 医師。

医学博士。きのくに漢方クリニック院長。
1994年和歌山県立医科大学卒業。第2外科(消化器外科)入局。

手術・抗がん剤などの通常治療、がん免疫療法の研究に携わり免疫力向上の重要性を痛感。

和歌山県立大学院卒、米国Vanderbilt大学医学部研究員(腫瘍免疫学部門)、国立和歌山医療センター外科を経て2004年から2007年まで赤目養生所所長。

食養生・心の養生・漢方を柱に免疫力を自然な方法で高めることにより、がん、アトピー、糖尿病、自己免疫疾患などあらゆる難治症の患者さんを治療。

2008年きのくに漢方クリニック開設。

健康です!と言える人を増やしていく

皆さんは「健康ですか?」と聞かれたとき「はい!」と答えることが出来ますか。

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「私健康です」という大人が社会を引っ張っていかないと健康な子供は育たないと思いますし、大人が死ぬまで元気に生きている見本を見せないと子供たちが未来に希望が持てないと思うのです。

ですから私たちの世代で「健康です!」といえる人たちを増やしていきたいと思います。そのために必要なことは何かということについて私なりの考えを今日はお話させていただきます。

さて「健康ですか?」という質問にくわえてもうひとつ「どんな一生を送りたいですか?」という質問を投げかけたいと思います。

実はこの2つは非常に密接な関係にあります。たとえば定年まで仕事をしてその後はご夫婦であちこち旅行に行くとか、子供が手が離れたら自分お時間を作って前からやりたかった習い事をしたいとか、それぞれにいろいろな想いやプランがあると思います。

しかしそれには前提条件が伴います。それは「そのとき健康だったら」という条件です。

この条件が抜け落ちていては自分の送りたい一生を送ることは出来ないのです。特に人生の後半戦においてはこの条件が往々にして崩れやすい。ですので、「どんな一生を送りたいのか」ということと「そのために今後労病死とどう付き合うか」ということはセットで考えておかなければならないのです。

人は変われると認識すること

そしてもうひとつ質問させていただきたいと思います。「人は変わりますか?」患者さんと話していると「先生。人は変わらんで」という人のどれだけ多いことか。

しかしこれまでのあなたを変えない限り病気は治りません。皆さんいろいろ事情があって病気になるんだけど病気になった後は「人は変われる」ということをわかっておかなければ、てこんな風に変わるんだというビジョンを持っていなければあなたは変われないし、変われないということは病気が治らないということなんです。

「変わる」ということは生きていくうえで備えておかなければならない能力の一つであり、「変われるあなたであること」が一番大切なことになります。ですからきょう以降、みなさんは「人は変われる」という風に思っていただきたいと思います。

本当の予防とは病気になった時に上がれる人間になっておくこと

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皆さんにお聞きします。つらいなあと感じるのはどういうときでしょう。例えば仕事がうまくいかなかったり、体調が悪い時、あるいは人間関係がうまくいかないとき・・・・このように皆さんいくつか浮かぶと思うのですが、でもいつもつらいですか?そうではないですよね。

つまり私たちの生活や体調には波があるのです。固定してずっと悪いということはない。時にご病気を抱えている方がいらっしゃったらこのことに気が付いてほしいのです。

ここで大切なことは落ちているときそこから上がれるのか、それともそのままぐずぐずと落ちて行ってしまうのかということなんです。調子が悪くなること、不運なことに出会うことはある。これはもう避けられない。しかし大切なことはそのあと上がれるかどうか

病気にならないことを予防と考える方がいらっしゃるけれどもこれは決定的におかしい。なぜなら死ぬまで病気にかからないなんて非現実的な話だからです。大事なのは病気にならないことではない。本当の予防というのは病気になった時に上がれる人間になっておくことなのです。

生老病死は誰にも避けようのないことです。ですからこれらを不運なことと捉えてはいけません。患者さんの中には病気になったことを「私は運が悪かった」という方がいらっしゃいますが、運が悪いわけではありません。

なぜらなみんなが病気にかかるからです。もちろんうれしいことではないけれど、避けられないものであればこれを活かしたいと思っていただきたいのです。

これを「何か意味があるのだろう」と捉えれば、シンプルに悪いことになってしまいますから。老病死を活かせるあなたになっておきましょう。これが知恵というものではないでしょうか。

私はヨット、人生は船旅 メンテナンスしていますか?

人生を船旅にたとえます。自分はヨットだと思ってください。航海をする上で葉さまざまな条件があります。まずは環境の変化。波が激しいときも穏やかなときも、向かい風のときも追い風のときもあるでしょう?

周囲の環境もあるから自分さえ整っていたら万事うまくいくというわけには行きません。そしてヨットの船体があります。これが頭からしたの私たちの体です。

ちゃんとメンテナンスされていますか?丈夫な材質で作られていますか?ひび割れしていませんか?メンテナンスを怠ったまま航海をしていませんか?

ではヨットにたとえると首から上は何でしょう。これは操舵手 乗り手さんです。

高級な船であっても乗り手が未熟であればいい航海はできません。帆の扱いに慣れていないといけないし、船をどの程度どう動かしたらどこに無理が出るかが分かっていないといけません。

波風を読む、、GPSがなくても夜になったら星で方向が分かる、そういう能力も必要になります。そして乗り手にとって一番大切なのは、いざというときの準備や覚悟が出来ているかということです。

こうしたことが日々健康に生きるために大切なことだと思います。

船のメンテナンスもしっかり出来ていてドライバーの調子もとてもいい。波も穏やかで順調満帆、そんな時はよいのです。

大事なのは落ちてきたときに上がれるかどうか、波が高いとき、風が吹き荒れるときにうまくやれるかどうかということが重要になってきます。

たくましさ ありますか?

つらい中で這い上がれる能力というのは「たくましさ」という言葉に集約されると思います。病気の宣告を受けた人が最初は落ち込んでいるけれど二日後には気持ちを切り替えて普通の顔をしている。そんな人を見たら皆さんどう思いますか。「たくましいなぁ」と思うでしょう。大切なのはこのたくましさなのです。

このたくましさを今日より先の未来を作っていくうえで、大人が一番価値を置いていかなければならない言葉にしていきたいと思います。自分自身もそうです、よりたくましくなりたい。

子供を育てるときもそうです。よりたくましく育てたい。この一言に健康ということは集約されるのではないかと今の僕は思っています。

今日の時点ではです。変わることは大切だと思うので明日にはまた違う風に思っているかもしれません・・・ということを理解しておいてくださいね。

まずは現状認識

そして私たちはいつでも、100歳を超えてからでもたくましくなれます。私たちは必ずある時点よりもたくましくなることが出来るのです。病気が治るということはそういうことです。そのためにはまず、今どれくらいいいのか悪いのかという現実をちゃんと見る必要があります

病気になった方の中には現実を見たくない、血液検査の結果を見たくない、画像を見たくないという方がおられます。

私は治るあなたに変わっていただくお手伝いをしたいと思って、日々臨床をしてるわけですけれども、現実を見る力がない人はだめですね。底が抜けている感じがします。

今の状態を認識してそこから変わっていくこと、上がっていくことが大切なことですから、まずは現状認識をする。そのうえで「今よりたくましくなりたいなぁ」というのを理想として頭の隅に置いておくことです。

強く念じる!!!!!!という感じではなく、頭の隅に理想として置いておく感じ。強く念じると念じることにエネルギーを取られてしまい、それを実現するために具体的に動くためのエネルギーまでとられてしまう感じがします。頭の隅で「あんなんええなぁ」という感じがちょうどいいと思いますよ。そうすると重荷にならないんですよ。

たとえばね、ほしい車があるとして「あの車えなぁ」と思っているのって楽しいでしょ。でもね、欲しいなぁ!と強く思ったら買えない今の自分が悲しくなってきますよね。現在をだめなものにしてしまってはいけないわけです。現在は現実でいいも悪いもないのです。今病気なのだとしたら、そのことにいいも悪いもなく「今病気である」というそれだけの話なんです。

考える知性を持とう

何度でも言います、あなたはヨットです。私もヨットです。私たちが生きるとは船旅なのです。理想的な航海をするにはやはり丈夫な肉体でしょう。そして風の向き、波の高さ、潮の香り、星の流れ、雲行き、こういうものがきちんと分かる操船主でありたい。

敏感さはとても大事です。体の敏感さをわずらわしく思っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。敏感さというのは危機的な状況に陥る前に「なにかがおかしい」と分かる能力なのです、もうひとつ操船主にもとめられるには、使える知性を持っていることです。

病気が長引く人には頭でっかちの人が多いです。頭でっかちの人というのは、明日診断名を宣告されたらその病気のことをインターネットで徹底的に調べます。そして私のところに来て「先生この病気はこんなで、私はこれとこれとこれに当てはまるんですよ!」とおっしゃる。

私が知らないことばかりです。「あなた詳しいですね。それだけ詳しかったら治し方もよくおわかりでしょう」というと「・・・・・・・・・・」だめなんですね、知っていてもその知識を使えなければ・・・・。

頭でっかちの方というのは使えない知識をものすごく集めます。コンピューターも情報を記憶させておくだけでメモリを食って実行速度・処理速度がすごく遅くなりますよね。それと同じです。船に対してあまりに大きな帆を持たせてもだめなんです。

その2に続きます

この文章は愛農会の機関紙 「月刊 愛農」 6月号・7月号に記載された記事です。
皆様にもぜひお読みいただきたいと思い、ここに転記させていただきます。

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高橋 和子 info@budounoki.info
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